最初にこの写真を撮った日のことを、いまでもよく覚えている。
五匹のネッコの中でいちばん年下の兄弟は、
まだ世界に馴染めず、
ふたりで小さく寄り添いながらこちらをうかがっていた。
灰色のしま模様の子は、
黒い弟の背中にそっと頭を預けて、
「ここは安全なのかな」と
静かに問いかけるような目をしていた。
その距離感は、まるで薄い膜に包まれたようで、
触れたら壊れてしまいそうなほど繊細だった。
あれから八か月。
その膜は、いつのまにか跡形もなく消えている。
今では家じゅうを駆け回る「運動会」の主催者で、
おばあちゃん猫をからかっては
「若いってほんとに騒がしいわね」と
ため息をつかれている。
お兄ちゃん猫はというと、
末っ子たちの無茶を静かに受け止める、
大きな器の優しさを持っている。
近くで寝られても、突然飛びつかれても、
「まあ、いいか」と見守るようなまなざし。
一方、お姉ちゃん猫は容赦がない。
やんちゃが過ぎれば、
「こらっ」と追い払う。
その厳しさもまた、家族の秩序の一部になっている。
そして末っ子兄弟は、
そんな上下関係をものともせず、
いっぱい甘えて、いっぱい遊んで、
今日も廊下をドタドタと駆け抜けていく。
写真の中で寄り添っていたあの小さなふたりが、
いまは家族の真ん中で、
遠慮なく、のびのびと生きている。
恐れは時間に溶け、
距離は日常にほどけ、
気づけば、なくてはならない存在になっていた。

